棋士・女流棋士がふりかえる100年

森下 卓 九段 がふりかえる名対局

中原誠-森雞二


森下 卓

九段

昭和53年(1978年)3月の末、北九州の門司で名人戦が行われた。
中原名人VS森八段の伝説の名人戦の第二局で、観戦の抽選には外れたのだが、立会人を務められた勝浦先生が「子供は見なさい」と言って下さり、初めて棋士を見て、プロの対局を見た。小5の春休みだった。
鮮烈な印象が残っている。
この時の名人戦では、開幕の第一局に森先生が剃髪で現れ、対局場は騒然となったと言う。
その時、私の師匠になって下さった花村先生が立会人を務められていて、「大和尚に無断で坊主になってはいかんな」と言われ、騒然が爆笑に変わったそうだ。
和やかで、懐かしい時代だった。