神谷広志
八段
1994年4月18日 第7期竜王戦出場者決定戦1組
谷川さんは皆さんご存知の通り幼いころから天才の名をほしいままにして私より一歳年下にもかかわらず私が将棋を覚えたころには奨励会に在籍し私が奨励会に入った頃には四段昇段。私がやっと四段になった頃には名人・・・実際はそこまでではなかったのだが私の心の中ではそうだったのだ。
だから竜王戦で一組に上がることができ谷川さんと対戦することが決まったときは何日も前から興奮が抑えきれなかった。
谷がさんのひねり飛車にわずかなスキを見つけて先攻しこちらのペースだった筈だが綺麗な返し技を食らって混戦に。その後何度か形勢が入れ替わったはずだが最後は161手で力尽きた。余りの悔しさにその終盤を調べ、自分の唯一の勝ち筋を見つけ谷川さんにそのことを書いた手紙を送った。
後日谷川さんにそのことを認めていただいた時私の中でこの将棋がやっと完結した。