杉本和陽
五段
第34期竜王戦5組ランキング戦(2021年1月13日)
兄弟子である中川八段には、米長門下に入門した当初から数百番は稽古をつけてもらっている。特に三段時代は週に一度vsでひたすら鍛えていただき、精神的にも技術的にも逞しくなることができた。そんな兄弟子との公式戦初対局。気合を入れて臨んだ一局だった。戦型は指し慣れたゴキゲン中飛車を採用し、序盤の駒組みが一段落したところで昼食休憩になった。戦いが起こるのはまだ先かな、とのんびり構えていた休憩明け。盤も割れんばかりの手つきで仕掛けられた。36手目△15歩。手がかりがないところへのいきなりの端攻め。全く読んでいない手で驚いたが、局面が進むうちに好手だということがわかった。その後は必死に防戦するも、次々と繰り出される怒涛の攻めを受け止め切れず寄せ切られた。練習とは全く異なる、公式戦の場で初めて対峙する中川八段の気魄に圧倒された一局で、強く印象に残っている。