棋士・女流棋士がふりかえる100年

真田 圭一 八段 がふりかえる思い出の一局

真田圭一ー屋敷伸之


真田圭一

八段

第10期竜王戦挑戦者決定戦第3局(1997年9月22日)
思い出の一局、と言えば25才の時に竜王戦の挑戦者となり、七番勝負の第1局で指した▲4一金という筋悪の手が実は好手だったことで、今でもファンの方に話していただくことがある。もちろん、私にとって強く印象に残っている一局なのだが、今回取り上げるのは、その竜王戦での挑戦者を決める一局となった、挑戦者決定戦第3局。相手はよく一緒に遊んでいた屋敷伸之君。一勝一敗で迎えた第3局は激戦となった。山あり谷ありの展開の末、相入玉模様となる。私は若さもあり、途中で方針を切り替え竜を自陣に引き上げ寄せに向かう。結果は二百手超えで勝利。時刻は深夜零時を過ぎたところで日付が変わっていた。すぐには勝利の喜びは湧かず、数時間後ぐらいにじわじわ実感してきた。今思えば、この一局に勝利することができたのは、本当に運が良かったと思う。