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阿部光瑠
七段
私の棋士人生は、今年で13年目に突入した。
その中で印象に残る棋譜は沢山あるが、一番脳裏に焼き付いているのは第2回将棋電王戦で指した将棋だ。
私にとって、その対局は10年ぐらい前の将棋になる。この対局を思い出の対局に選んだのは、私の人生史上、最も努力した時期だからでもある。
朝4時に起床し軽く身支度を整えたら、本番と同じ持ち時間で練習将棋を始める。これが自分の練習方法だった。いろいろ試した上で、このシンプルな勉強法に至ったのだが、心身の負担を考えると、全くよろしくない勉強法だっただろう。
そんな血反吐を吐くような努力の甲斐もあり、本番では結果を残すことが出来た。当時のことを上限400字ではとても語りきれないが、苦しくも素晴らしい経験をさせていただいたと心から思っている。