棋士・女流棋士がふりかえる100年

鈴木 大介 九段 がふりかえる名対局

中原誠-大内延介


鈴木 大介

九段

第34期名人戦第7局 中原名人対大内八段
私の中で名対局といえば、▲71角でも有名な中原―大内戦
名人をほぼ手中に収めていたにも関わらずその手からこぼれ落ちた痛恨の手順前後。
大内師匠からは「指した途端に嫌な汗が一気に出てきて後日染み抜きをしてもその冷や汗だけは落ちなかった」等、普段では聞けない当時のお話をよくして頂いたものだ。
棋士になってからは、話の最後に「タイトルは選ばれた人がなるのではない、つかみ取るものだ」等と発破をかけて頂くことも多く、期待されていることはわかってはいたが未だ手中に収めることは出来ていない事については申し訳ないかぎりである。
今でも真面目な話の後で、必ずこちらを向いてニカッと笑う師匠の顔は忘れられない。