棋士・女流棋士がふりかえる100年

谷川 浩司 九段 がふりかえる名対局

渡辺明-藤井聡太


谷川 浩司

九段

写真は2021年6月18日、ヒューリック杯棋聖戦第2局、昼食休憩明け。藤井聡太五冠が初めて、タイトル保持者として戦ったシリーズである。171手に及ぶ大熱戦を制した藤井棋聖が、第3局も勝って初防衛。その後のタイトル戦も勝ち続け、今年2月には五冠となる。
渡辺明名人にとっては、この第2局が今期の対藤井戦の大きな分岐点となった。用意周到に作戦を練り、自玉が堅く、残り時間でもリード、という条件を作りながら勝ち切れなかった。この流れを変えられず、棋聖戦に続き王将戦のほうもストレート負けを喫する。
渡辺37歳。藤井19歳。タイトル戦を重ねる毎に藤井五冠は強くなるが、戦うことを諦める年齢差ではない。藤井五冠にタイトル戦で勝つのは自分だ、との思いはあるだろう。二人の次のタイトル戦はいつか。その時渡辺名人は、これまで通り最新形で臨むのか、新たな作戦をぶつけるのか。