棋士・女流棋士がふりかえる100年

森内 俊之 九段 がふりかえる名対局

谷川浩司-羽生善治


森内 俊之

九段

谷川浩司九段と羽生善治九段の対局数は歴代2位の168局、数々の名勝負を繰り広げてきた。四段昇段後に急速に実力を伸ばした羽生九段が、第一人者の谷川九段に挑んでいくという図式は実に迫力があったが、中でも鮮烈だったのは、羽生六冠(当時)が七冠達成を懸けて1995年から2年連続で谷川王将(当時)に挑んだ、「王将戦七番勝負谷川王将vs羽生六冠戦」である。谷川王将が防衛した1995年は、第1局の数日後に阪神・淡路大震災が起こって神戸出身の谷川王将が被災、3勝3敗のフルセットで迎えた最終局も千日手指し直しとなるなど、激闘のシリーズだった。そして翌年は、自身のもつタイトル全てを防衛した羽生六冠が再び挑戦者となり王将位を奪取、前人未到の七冠制覇が達成され、将棋界の歴史に残るシリーズとなった。棋士が将棋にアプローチする方法は大きく変わった今でも、谷川九段と羽生九段の名勝負は光り輝いている。