棋士・女流棋士がふりかえる100年

門倉啓太五段「思い出の棋具」

門倉啓太

五段



私の盤駒

 駒は小学3年生のとき、近所に住んでいたおじさん(通称じいじ)に買ってもらいました。私が将棋を覚えて間もないころでした。山峯作・錦旗書の彫駒です。柔らかい書体が気に入っています。高級な盛上駒などは持っておらず、ずっとこの駒を使っています。じいじには初心者のころよく相手をしてもらいました。
 盤は小学4年生のとき、私が将棋会館の道場で初段になったお祝いで親戚のおじさんに買ってもらいました。六寸盤で、こちらもそれ以来ずっと使っています。おじさんは将棋好きでアマ二段ぐらいだったので、よく遊びにいって教わっていました。
 盤駒はどちらも、最寄り駅の近くにあった碁盤店のものです。私が中学生になったころにはそのお店も閉店してしまい、時代の流れを感じました。
 駒台は3年ほど前に妻がプレゼントしてくれたものです。以前は盤とセットのものを使っていたのですが、実家で飼っていた犬にかじられてボロボロになっていました(盤もかじられています)。私はあまり気にしていなかったのですが、見兼ねた妻が買ってくれました。
 駒袋は小学生のときに将棋会館の道場で賞品としてもらった巾着袋を使っています。もともとの駒箱はどこかへいってしまいました。
 赤ん坊のころは盤の上によじ登ったり駒を放り投げたりしていた長男も、将棋に興味を持ち始めました。ときどきこの盤駒を出してきて「将棋やろう」と言ってきます。
 改めて思い返してみると、小学生のときから使っている盤駒には私の人生が詰まっています。最近お手入れをサボっているので、綺麗にしてあげなければいけませんね。