

高田尚平
七段
第51期順位戦C級2組(1993年8月31日)
平成元年に四段昇段をし、平成から令和に変わる年に最後の対局を終えた。トーナメントプロとして丸々平成を過ごしたわけで、覚えやすく説明もしやすい。
平成5年8月31日C級2組順位戦の中田宏樹六段(当時)との対局を印象に残る一局として。
相矢倉から互いに時間を使う中盤で、常識的には考えない攻めを引っ張り込む手が浮かび、1時間あまり読んだ末に決断をした。その後は形勢が揺れ動き、双方1分将棋となり、終局は日付けが変わった1時20分。最後は中田さんに正しく応接をされたら中田玉に詰みはなく負けだったことが後からわかった。「指運」といっても多くの場合はギリギリの判断による実力と考えているが、この時の詰む詰まないは指運といって差し支えなさそうだ。今振り返ってみても。
この年度は、4月から5ヶ月あまりで19勝をあげ、好調というより忙しさがプラスに働いている好循環を感じていた。年度40勝を目標にしていた唯一の時期だったが、その後は連敗の悪い流れを断ち切れず25勝にとどまった。トータルでその時の実力だったのだろう。