棋士・女流棋士がふりかえる100年

野月 浩貴 八段 がふりかえる思い出の一局

野月浩貴ー有吉道夫


野月浩貴

八段

第47回NHK杯争奪戦(1997年5月12日)
 棋士になった1年目、NHK杯将棋トーナメント1回戦で有吉道夫九段と対戦をしました。
 奨励会三段時代にNHK杯の記録係を担当しており、前年度まで(棋士になってからの半年間も)は記録係の机から「早く向こう側で対局したい」との強い羨望のまなざしで対局者を見つめていました。
 トーナメント表ができて、有吉九段との対戦を知った時は、攻め将棋の私にとって、「火の玉流」と呼ばれる攻め将棋の第一人者でもある、憧れの大先輩と対戦できるのが嬉しくて、対局日が来るのを指折り数えていました。
 対局前のリハーサルでスタジオの対局席に座ると、感慨深いものがありました。
 解説は師匠の勝浦修九段。師匠に解説していただけるのは、おこがましくもありますが、自分も棋士になったのだなと実感できました。
 対局は相矢倉で先攻するも、中盤から終盤に掛けて、有吉九段の猛反撃を受けてしまいました。第一線で活躍を続ける大先輩の迫力に気持ちも押され気味でしたが、開き直ってなんとか攻め合いを制することができました。
 対局後には師匠に、NHKの近くにある、棋士御用達のうなぎ屋に連れて行っていただきました。
 この頃の気持ちを忘れずに、励み続けていきたいと思います。