棋士・女流棋士がふりかえる100年

木村 一基 九段 がふりかえる思い出の一局

木村一基ー杉本昌隆


木村一基

九段

第57期順位戦C級2組(1999年2月9日)

 24歳直前で棋士になれたことは嬉しかったが、この先活躍できるかという不安もあった。
正しいかどうかわからないがこの世界は年齢で評価される。実際、長い三段リーグで疲れてもいた。そんな中で順位戦の昇級のチャンスを迎えた。
 現在ではあまり見なくなったが、三段時代にかなり研究した形に。それを思い出しつつ、手を進めた。ソフトがあればすぐに結論が出るのだろうが、当時は試行錯誤の繰り返しだった。効率は悪いがその分、根気がついたように思う。
 最後、自玉が詰まないことを何度も確認したときの鼓動がとても激しかったことを覚えている。会心の出来栄えだったが、これが地道な研究の成果だと思う。
 そのころと比べて将棋に取り組む姿勢はどうだろう。時折思い出してはその当時の自分に負けないようにしている。